急性胃腸炎とは、ウイルスや細菌に感染することによって、腹痛や嘔吐(おうと)、下痢などの症状を起こすことを指します。こうしたことから、急性胃腸炎は感染性胃腸炎または嘔吐下痢症とも呼ばれます。特効薬はありませんが、長くても2週間以内には自然に治る病気です。子供の嘔吐や下痢は、この急性胃腸炎によるものがほとんどです。特に、ロタウイルス、子供の身体は、大人に比べて必要とされる水分の割合が多く、また水分量を調節する機能もまだ未熟なために、少しの嘔吐や下痢でも脱水症を起こす可能性があります。脱水を生じると、「泣いても涙があまり出ていない」「口の中がベタベタしている」「おしっこの量が減る」などのサインが出ます。このようなときの水分補給に適しているのが経口補水液です。あらかじめ用意しておき、嘔吐・下痢の症状が始まったら、脱水のサインが出る前に飲ませるようにしましょう(「看病するときのポイント」の項を参照)。また、便や吐物の中には多くの塩分(ナトリウム、カリウム等)も含まれています。そのため、下痢や嘔吐がある間は、水分だけでなく塩分不足にも注意が必要となります。塩分不足が進行すると低ナトリウム血症を発症し、頭痛がしたり、意識がもうろうとしたりします。重症になると、ひきつけを起こし、亡くなってしまうこともあります。経口補水液には塩分(ナトリウム、カリウム)が多く含まれており、補給に効果的です。子供の嘔吐や下痢には、ごくまれに・便に血が混じる急性胃腸炎は、薬などを服用しなくても、時間が経てば自然に治る病気です。つらい嘔吐のピークは半日から1日程度で、長くても2~3日経つと収まります。下痢のピークは2~3日で、長くても1週間程度です。嘔吐や下痢の症状があるこの期間を、脱水症にならないように気をつけて乗りきりましょう。脱水症予防には、嘔吐や下痢によって失われた水分と塩分をバランスよく補うことが大切です。このとき糖分を一緒にとると、腸からの吸収がよくなり、エネルギー補給にもなります。胃腸炎などが原因となる嘔吐・下痢時の水分補給には、水分・塩分・糖分がバランスよく含まれている経口補水液が適しています。経口補水液は「OS-1(オーエスワン)」などの市販品があるほか、自宅で作ることもできます。作り方は、1リットルの水に砂糖40g(大さじ4と2分の1)、塩3g(小さじ1)、果汁ひとしぼり(果汁100%のジュースを少量でもよい)を溶かします。果汁を加えることでカリウムも補給でき、味がついて飲みやすくなります。また、お粥を多めの水で炊いて重湯にし、塩をひとつまみ加えたものでも代用できます。水やお茶、スポーツドリンクやイオン飲料を飲ませ続けると体内の塩分濃度が下がり、低ナトリウム血症を引き起こすことがあります。スポーツドリンクやイオン飲料などは糖分が多くナトリウム、カリウムといった塩分が少ないため、嘔吐・下痢時の水分補給には不適切です。嘔吐を繰り返していても、その間に少しずつ水分を飲ませることが大切です。すでに脱水のサインが見られる場合は、不足している水分を3~4時間以内に摂取させる必要があります。目安は、体重1kgあたり50~100ミリリットルです。一気に飲むと吐いてしまうので、ティースプーンに1杯程度の量を少しずつ飲ませていきましょう。スプーンでも吐き出してしまう場合は、スポイトを歯ぐきに沿わせて、奥の方に進め、少しずつ注ぐと効果的に摂取できます。下痢や嘔吐が続いていても、食事やミルクを制限する必要はありません。ここで無理をする必要はありませんが、少しでも食べられる状態なのであれば、食べることによって病気で消耗した体力が早く戻るといわれています。ロタウイルスは、赤ちゃんのときにワクチンを接種することで感染・重症化を予防できるようになりました。希望者のみが受けられる任意接種(全額自己負担)ですが、予防接種を受けておくとよいでしょう。に胃腸炎を起こすウイルスは、便や吐いたものを介して感染します。そのため、普段から便や吐物の取り扱いにはよく注意を払って対処しましょう。基本的に手袋をして処理にあたり、始末後は手洗いを十分に行いましょう。急性胃腸炎にかかった子供を看病するときは、より注意が必要です。吐いたもので床などが汚れてしまった際は、ふき取ったあと、1%程度に薄めた塩素系漂白剤でしぼった雑巾を用意し、数分間かぶせておきましょう。それから室内の換気をしっかりと行います。これらは、ノロウイルスはアルコールでは死なず、乾燥させてもしばらくは生きているため必要な処置です。アルコール除菌や水でふき取っただけで済ませてしまうと、乾いてからウイルスが風で舞い上がり、ほかの家族に感染する原因となります。解説:十河 剛※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
嘔吐・下痢の子どもが増えてきました。今日は「お腹の風邪」と呼ばれるウイルス性胃腸炎について説明したいと思います。「お腹の風邪」すなわち「ウイルス性胃腸炎」の中には、ノロウイルスによるものもあれば、ロタウイルスによるものもあります。多くはその他たくさんの無名のウイルスによるものです。すべての嘔吐・下痢はうつると考えるべきです。胃腸炎の経過は、「お腹に入り込んだウイルスを体の外に排除する過程である」と考えると理解しやすくなります。ノロウイルス性胃腸炎の典型的な経過をみてみましょう。①嘔吐のphaseまず、口から入ったウイルスを、体は嘔吐という形で必死に外で追い出そうとします。最初の数時間、何をしても嘔吐が止まらない時間帯があるのはこのためです。私はこれを「マーラインオンの時間帯」と呼んでいます。この間は薬などもほとんど効果がなく、またこの嘔吐は止めるべきでないという先生もいます。一旦胃がからっぽになるとともに上手な水分の取り方をしていれば、嘔吐の多くは自然に止まってきます(だいたい6~12時間くらいです)。②下痢のphase出し切れなかったウイルスは、腸の中をどんぶらこと旅しながらお尻へ向かい、嘔吐からワンテンポ遅れて下痢がやってきます。これは、残ったウイルスを今度は下痢で追い出そうという作業であると考えると自然な経過のように思えますね。口からお尻までの腸という一本のトンネルを考えた時に、トンネルの上からあふれてしまう嘔吐という作業は、下から抜ける下痢という作業の開始ともに終焉を迎えることが多いので、順調に下痢が出るというのはある意味一番しんどいところを越えようとしているサインとも言えます。下痢が順調に出だすと、吐き気はだいぶん楽になります。下痢がどれだけ続くかは、かなり年齢によって差があります。薬で止めるのではなく、悪いものを出し切ったら止まる、と思いながら経過をみましょう。大きい子や大人では数日ですが、赤ちゃんでは一週間を越えて続くこともよく経験します。大体の場合、下痢が完全に収まる前に徐々に食欲やミルクの飲みが回復しますので、口からの補給がある程度できていれば、下痢が長引いても大きな心配は不要です。赤ちゃんで、よく食べれているが下痢が長引いている、という時期に一番気をつけるべきはおしりかぶれかもしれません。様々なウイルスの種類によって嘔吐・下痢のバランスは異なり、嘔吐だけで終わったり、下痢だけで済むものもありますが、胃腸炎の経過は、「お腹に入り込んだウイルスを体の外に排除する過程である」という部分は共通しています。ただし、強い腹痛や高熱が前面に出る場合、血便が出る場合、下痢が一週間を越える場合などはウイルス性胃腸炎以外の病気も考える必要がありますので、一度受診する方がよいでしょう。関連記事はありません
急性胃腸炎とは、ウイルスや細菌に感染することによって、腹痛や嘔吐(おうと)、下痢などの症状を起こすことを指します。こうしたことから、急性胃腸炎は感染性胃腸炎または嘔吐下痢症とも呼ばれます。 済生会本部 : 〒108-0073 東京都港区三田1-4-28(三田国際ビルヂング21階)
ガウディ とは 医療, 加藤 綾子 出演番組, 乃木坂 人気曲ランキング メンバー, ゴッドタン 西野 通訳, 柴田 杏 花 光源氏,